人材紹介会社の選び方
ここでは人材紹介会社が信頼できるかどうか判断するための選び方ポイントについて解説しています。
人材紹介会社の選びのチェックポイント
人材紹介会社はどこでも同じではなくそれぞれ特徴や強みが異なります。企業が効率よく非正規雇用のスタッフを活用するためには、以下のような点に注意して選ぶようにしてください。
研修が充実している
人材紹介会社に登録しているスタッフは年齢や経験によりスキルや仕事経験が異なります。料金が安いからといって安易に依頼すると何も分からない新人やビジネスマナーを持たないスタッフが派遣されかえってコストがかかることもあります。
こうした問題を避けるために人材紹介会社では教育制度を設けているところがあります。特に20代~30代前半くらいまでの若手スタッフが多い会社は研修を徹底してレベルアップを行っています。
研修や教育は企業側にとってコストと時間がかかる部分ですので、人材紹介会社の教育制度が充実していることは、どこの会社にするか選ぶ際の重要な判断材料になるはずです。
人材紹介会社の中には仕事のスキルデータの登録のみで人間性やマナーまでは管理していないケースも考えられるので教育体制の確認は要チェックです。
社員を採用している
人材紹介会社にもいくつかの契約形態があり派遣スタッフを非正規雇用で揃えている場合と、人材紹介会社の正社員として雇って派遣している場合があります。
非正規雇用のスタッフを派遣する理由は正社員を雇用するよりコストがかからないからですが、このようなケースでは人材紹介会社を利用する会社側から考えると契約満了に伴いスタッフの都合で延長契約ができないリスクがあります。
最初から期間の短い派遣サポートを希望する場合は別ですが、依頼する会社側として長期間働いてもらいたいと希望する場合は正社員派遣を行っている人材紹介会社を選ぶ方が安全です。
派遣スタッフ側としても人材紹介会社に正社員として腰を落ち着けて仕事をしようと考えている人が多いのでアルバイト感覚ですぐに辞めてしまうことがなく優秀な人材が集まりやすいということもあります。
フォロー体制が整っている
人材紹介会社のフォロー体制は2つの面が考えられます。まずは人材派遣会社から雇う会社側に契約後も状況を確認するなどアフターフォローしてくれるかどうかという点。もう1点は登録している派遣スタッフへのフォロー体制です。
この派遣スタッフに対するフォロー体制は紹介される会社側としても意外と重要です。派遣スタッフは初めての職場で仕事をするので不安になることも少なくありません。そうした場合に人材紹介会社として相談に応じる体制があるかどうかがポイントです。
フォロー体制が整っていない人材紹介会社のスタッフは不安がやがて不満に変わり、辞めてしまうこともあるからです。
もちろん人材紹介会社はそれをカバーするために次の人材確保に動きますが突然スタッフがいなくなればスタッフを受け入れている会社としても影響は大きくなります。
対応可能な種類で選ぶ
人材紹介会社の中には事務系に強い、医療系スタッフが充実しているなど得意とする分野があり対応できる範囲が異なります。得意とする業種と異なる依頼をするとミスマッチが起こりやすくなるので注意が必要です。
また一くくりに製造業を請け負えると言っても、専門性が高かったりテクニカルな部分は対応範囲外だったりする場合もあります。希望を伝えれば何でも対応してくれるとは考えずにどういった仕事や作業まで可能なのかを必ず確認しましょう。
人材紹介会社を利用する側としては、何となく人手が足りなくなったから人数だけ揃えればよいというのではなく、どの部署にどういった能力のある人をどの程度当てるかを明確にすることが重要です。
その上で人材紹介会社が対応できるスタッフの種類を把握して依頼するかどうか決めれば失敗することはありません。
人材紹介会社の種類とメリット・デメリット
人材紹介会社には、業務形態や業務内容によって複数の種類があり、自社のニーズにベストマッチした人材紹介会社を見極めることが大切です。
一般登録型人材紹介会社
人材紹介会社として最も一般的なタイプが一般登録型です。
人材を募集する上で初期費用がかからず、実際に人材を採用した時点で費用が発生するため、コストをかけたのに成果が出なかったという心配がありません。ただし、リスクが低い一方で成功報酬として支払う費用が会社によって異なり、採用した社員の年収に応じて10~35%程度としている場合や、1名あたり何十万円という定価設定をしている場合などがあります。
そのため、ノーリスク・ノーコストで人材紹介を待てることはメリットですが、上手に会社を選ばないと採用コストが求人広告などより高くなってしまうリスクがあるという点がデメリットです。
なお、入社してから一定期間内に社員都合で退職した場合、成功報酬を返金する保証制度路設けている会社も増えており、そういった面も確認するようにしてください。
ヘッドハンティング型(サーチ型)人材紹介会社
希望する人材ニーズを最初から人材紹介会社へ伝えて、それに基づいた人材を発掘・紹介してもらうタイプのビジネスモデルが、ヘッドハンティング型(サーチ型)の人材紹介会社です。
基本的に受け身の一般登録型人材紹介会社と異なり、積極的に有能な人材へアプローチしていけるので、条件次第で幹部候補や業界のスペシャリストといったエグゼクティブ層の人材を確保できるチャンスもあります。
ヘッドハンティング型の最大のメリットは、すでに別の会社で高く評価され、本人にも転職する意思がなかった人材に対しても、交渉によって転職してもらえる可能性があるという点です。反面、デメリットは一般登録型よりもコストが高くなるという点です。
一般的に、ヘッドハンティング型には完全成功報酬型と、最初に着手金を払った上で採用後に改めて成功報酬を支払うタイプの、大きく2パターンがあります。特に後者の場合、着手金を支払ったにもかかわらず、なかなか希望する人材紹介がされないこともあり、結果的に失敗しても通常は着手金の返還もありません。
再就職支援型(アウトプレースメント型)人材紹介会社
様々な理由によって、リストラなどによる人員整理を考えている企業に対してアプローチを行い、そこの社員を別の会社へ紹介するのが再就職支援型の人材紹介会社です。
再就職支援型では、人材を手放す会社が費用を支払うため、人材を紹介してもらう会社は他のパターンよりも低コストで、あるいはいっそ無料で人材を雇用するチャンスがあります。
また、費用的なメリットだけでなく、元の会社が大企業などである場合、専門知識やスキルを備えた優秀な人材が放出されるケースも多く、場合によっては魅力的な人材を低コストで雇用することが可能です。
反面、そもそも企業の人員整理が前提条件としてあるため、人材の絶対数や職種・業界が限られており、エグゼクティブ層などはすでにヘッドハンティングされているケースも少なくありません。
総合型と業界特化型の違い
上記3つの業務形態の他にも、特徴としての違いがあります。その1つが、総合型の人材紹介会社なのか、業界特化型の人材紹介会社なのかという点です。
総合型は文字通り、幅広い人材を総合的に取り扱っている人材紹介会社です。仕事の選択肢が多いので登録している人材や紹介できる人材も多く、また専門知識は備えていないものの、他業種で活躍していたという人材がスキルアップとして登録している場合もあります。
対する業界特化型は、特定の業種や職種を専門的に扱っている人材紹介会社です。
取り扱い分野は様々で、ものづくりや製造業を支えるエンジニアを専門的に紹介している会社があれば、ベンチャー企業を専門にしている会社、地方活性化を目的としてU・Iターンを支援している会社など、それぞれに特徴があります。また、エグゼクティブ層をターゲットにするヘッドハンティング型も、ある意味で業界特化型といえるでしょう。
全国規模と地域密着型の違い
人材紹介会社には全国規模で業務を行っている大手と、地元企業と地域の求職者のマッチングを主としている地域密着型や小規模のものがあります。
広範囲にネットワークを持っている大手人材紹介会社では、求人案件が豊富なので登録者も多く、選択肢が増えるというメリットがあります。しかし一方で、担当者によっては流れ作業的に人材紹介が行われるリスクもあるでしょう。
地元を中心に活動する小規模人材紹介会社では、それまでに積み上げてきた企業や人材との信頼関係と、地元ならではの情報力が大きな武器になっています。そのため、求職者や会社に対しても熱心にコンサルティングを行ってくれる点はメリットです。ただし、どうしても人材の豊富さや対応力では大手に劣りやすくなっています。