人材派遣に関わる法律やその他ルール
ここでは、人材派遣に関する法律や様々なルールについて、それぞれ詳しく紹介しています。
人材派遣は派遣元・派遣先・派遣労働者の三角関係
人材派遣は労働者派遣法に基づいた制度であり、人材紹介を行っている派遣元と、派遣された先で業務に従事する派遣労働者、さらに派遣労働者を使用する派遣先企業の、三角関係によって成立しています。そして派遣元・派遣労働者・派遣先は互いに、雇用契約・指揮命令・労働者派遣契約で結ばれています。
雇用契約
雇用契約は、雇用主である派遣元と、派遣労働者との間で結ばれる契約です。つまり、派遣労働者がどの派遣先で働こうとも、あくまでも給与の支払いや社会保険・労働保険などの加入については、派遣元が責任を持つということです。
指揮命令
派遣労働者の雇用主は派遣元ですが、事業所における業務内容に関しては、派遣労働者は派遣先企業の指揮系統に従います。なお、職場の安全対策やハラスメント防止といった、実際の労務提供にかかわる内容に限っては、派遣先が労働者に対して責任を負います。
労働者派遣契約
派遣元と派遣先は、人材派遣の業務内容や諸条件についてまとめた、労働者派遣契約を締結することが必要です。
労働者派遣法とは?
労働者派遣法は、人材派遣制度に関するルールなどを定めた法律です。1986年に制定されて以降も何度か改正を重ねられ、2012年には労働者派遣法改正法が施行されました。そしてさらに、2015年には派遣労働者の権利などが拡充され、許可制と届出制の2パターンであった労働者派遣事業が、許可制に一本化されるなどの改正が行われました。現在も労働者派遣法の改正については議論がされており、今後も法改正が見込まれています。
人材派遣と有料職業紹介事業の違い
人材派遣と有料職業紹介事業の最大の違いは、労働者の「雇用主」です。人材派遣では、あくまでも派遣元が雇用主として労働者に責任を持ち、労働者への給料支払いなども派遣元が行います。一方、有料職業紹介事業は、企業が人材紹介会社に求人を依頼して、人材紹介会社は求職者の中からニーズに合った人材を厳選し、企業へ紹介・斡旋する制度です。そしてマッチングが成立した場合、紹介された企業が雇用主として求職者を雇用します。
人材派遣と請負の違い
人材派遣と請負の違いは、労働者と派遣先企業の間で「指揮命令関係が生じているかどうか」です。人材派遣の場合、雇用主は派遣元であっても、労働者への指揮命令は派遣先企業が行います。対する請負の場合、企業は請負事業者と業務内容に関する請負契約を締結するだけで、実際の労働者への指揮命令は雇用主である請負事業者が一括して行います。そして、発注者である勤務先企業は、労働者に対して指揮命令を行うことができません。
人材派遣と出張・出向の違い
出張では、あくまでも派遣元の会社と雇用契約を結んでいる労働者が、出張先へ赴いて必要な業務を行います。対する出向の場合、大きく2パターンが存在します。1つめのパターンが、労働者が出向元との雇用関係を解消し、改めて出向先と労働契約を結ぶ「転籍出向」であり、実質的な転職です。もう1つが、出向元から人材として派遣された労働者が、出向元との雇用関係を維持したまま、出向先の企業とも労働契約を結ぶ「在籍出向」です。
事前面接や履歴書の送付などはできない
人材派遣において、派遣先企業と派遣労働者の間に雇用関係は存在しません。そのため派遣先企業にできることは、事前に派遣元へ必要な人材について伝えるだけであり、派遣先が労働者を選別したり、採用・不採用を決定したりすることはできません。なお、派遣先が派遣候補者の事前面接や履歴書の確認を求めた場合、違法となるため注意してください。ただし、一定期間後に正社員として雇用する紹介予定派遣では、事前面接も可能です。
無期雇用派遣とは
2015年の労働者派遣法改正で誕生した無期雇用派遣(常用型派遣)とは、派遣契約の期間を定めない、新しい人材派遣の形です。正社員と似ているようで異なる無期雇用派遣についてしっかりと把握しておきましょう。
派遣先企業と派遣社員との契約解除
派遣契約の期間中に、派遣先企業や派遣社員から一方的に契約解除をすることは、原則として許されていません。また、どうしても契約解除を行いたい場合も、相応のペナルティが科せられることもあり、注意が必要です。