派遣スタッフの離職率改善方法
派遣スタッフの離職率を改善するためには、企業の就労環境を見直すだけでなく、そもそもどういう理由で派遣社員が辞めているのかを把握しておき、適切な対策を行っていくことが大切です。
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派遣社員が辞める理由
まずはどうして派遣社員が辞めていくのか、具体的な事例を確認していきましょう。
契約と仕事内容が異なる
派遣社員が行うべき仕事の内容は、事前に結ばれている契約によって細かく決められています。
しかし、派遣先となる企業が正しくその契約内容を把握していなかったり、実際の業務が契約内容と異なっていたりすると、派遣社員にとっては「聞いていた話と違う」という意識が強くなり、辞めたいという気持ちも強まるでしょう。
もっと割の良い仕事を見つけた
派遣社員にとって、派遣の仕事はあくまでも「お金のために行っているもの」という意識が強いといえます。
企業への帰属意識があまり高くない派遣社員の場合、他に少しでも割の良い仕事を見つければ、そちらの方へ変わろうと考えるのは必然です。
給料のアップが認められなかった
派遣社員が仕事に満足して続けていく上で重要なポイントの1つが、給料です。
更新のタイミングで給料アップを交渉して成功し、改めて仕事を続けていく派遣社員も少なくない一方、思い通りに給料が上がらなかったため、別の仕事を探して現在の職場を去って行く派遣社員も珍しくありません。また、特に過去に給料アップの成功体験がある派遣社員では、交渉が不成立になった際に現在の職場をさっさと見限って離職してしまうケースも考えられます。
特に今後は働き方改革によって、2020年4月1日から「同一労働同一賃金」もスタートするため、給料面に関する問題はこれまで以上にシビアになっていくことも想定されるでしょう。
そもそも長く続けるつもりがなかった
派遣社員として働いている人の中には、そもそも派遣を長く続けるつもりがないという人も少なくありません。
再就職までの一時しのぎや、将来的に引っ越しを予定している場合など、理由は人によって様々ですが、そのような派遣社員の場合は契約終了とともに離職していく確率も高いといえます。
職場の人間関係
派遣社員にとって、仕事場を変えることはそれほど大きな問題ではありません。そのため、職場の人間関係などがギクシャクすると、もっと働きやすい場所を求めて去って行く派遣社員もいます。
正社員でも派遣社員でも、職場の人間関係がストレスになるケースは珍しくありません。また、特に正社員と派遣社員の間で、意識の差からくる不和が生じることもあるでしょう。
派遣社員であっても、技能とやる気を持って仕事に従事している人はたくさんいます。そのような人たちに対して、「どうせ派遣だから」などというような発言があった場合、プライドを傷つけられたと感じて辞めていく派遣社員も増えるでしょう。
派遣元との間で信頼関係が崩れた
派遣社員が離職する理由の一つに、派遣先に対しては満足しているものの、自分を担当している派遣元のスタッフとの間で信頼関係が崩れてしまい、そもそも派遣登録を解消してしまうというケースが挙げられます。
これに関しては、派遣先となる企業に責任がないともいえますが、その派遣会社がどのように派遣社員へ接して、業務についてどのように説明しているのか、可能な範囲で事前に確かめておくことも派遣会社の信頼性を見極める上で重要です。
また、自社の事業の基盤である派遣社員に対して誠実に接しない派遣会社は、何かのきっかけで派遣先にも不誠実な態度を取ることが考えられます。そのため、信頼性に欠ける派遣会社を選ぶことは、会社にとっても将来的なリスクといえるでしょう。
仕事内容に満足していない
派遣社員だからないがしろにされている、派遣社員だから価値のある仕事を任されていない、というように仕事内容への不満が派遣社員の離職につながることもあります。
契約にない仕事をさせられているという不満は離職の大きな原因ですが、仕事の物足りなさもまた、意欲的な派遣社員にとっては離職の原因となりえます。
さらなるスキルアップを考えた
派遣社員であれ正社員であれ、業務に対して真剣に取り組んでいる人は、少しずつでも着実に成果を上げて、それがさらなるやる気を生むという好循環につながります。
しかし、そうして成長していくと、それまでは満足していた仕事であっても物足りなくなったり、もっと大きな仕事へチャレンジしたくなったりすることもあります。
意欲的な社員に対して、それに見合った仕事を任せて実力を発揮してもらうのは企業にとって理想的な流れですが、派遣社員は事前の契約で業務内容が決められているため、派遣先が勝手に業務内容を変更することはできません。
また、派遣元や派遣社員と話し合って契約内容を変えるとしても、そもそも会社として用意できる仕事の幅に派遣社員が納得しなければ、さらなるスキルアップを目指して離職してしまうことも考えられます。
「何となく」で辞める派遣社員も多い
派遣社員が会社を去る理由については色々とあり、派遣社員それぞれで許せないポイントや許容できる範囲も異なるので、最終的には各人へのケアが重要です。
しかし、一方で明確な理由をきちんと自覚しないまま、直感的に離職してしまう派遣社員が少なからずいることも事実です。
正社員の場合、退社しようとすればそれなりに理由や原因があり、悩んだ末にという人が少なくありません。一方、そもそも会社への帰属意識が低い派遣社員では、日常の些細な出来事や違和感をきっかけにしていきなり辞めてしまうことがあり、会社として離職の原因究明や環境改善をしようとしても、非常に難しいというケースもあります。
採用後のミスマッチ対策
派遣社員の希望と、派遣先企業での業務内容のミスマッチが起こると、離職率が高まることは必然です。
そのため、採用後のミスマッチを防止するために派遣会社が取り組んでいる内容を理解し、それらを実施している派遣会社を利用することは、離職率改善の重要なポイントといえるでしょう。
派遣社員のニーズに対応している派遣会社
派遣社員にとって、働きたい業種・業界の求人を幅広く用意している派遣会社であれば、ニーズに合致した企業とのマッチング率も高まります。
業界の事情や内容に精通したアドバイザー
派遣会社に所属しているアドバイザーやキャリアコンサルタントといった担当者が、正しく業界や業種について理解していれば、派遣社員が企業に適した人材かどうかの見極めも適切に行えます。また、担当者が企業の採用ニーズをきちんと理解してくれるかどうかも重要です。
派遣社員に対するフォローをしっかりしているか
未経験の職場や、就労に不安を抱いている派遣社員に対して、派遣会社が就業前にきちんと指導したり、採用後も適切なサポートを行っているかどうかは重要です。
職場で不安や不満があったとしても、派遣会社の担当者へ気軽に相談できる環境が整っていれば、派遣社員のストレスを緩和して離職率の改善にも貢献してくれます。
離職率を下げるポイント
派遣社員の離職率を下げるポイントは、派遣社員が納得して働ける環境や条件を整えた上で、事前の契約内容を正しく守ることです。
また、採用後のミスマッチを防ぐために、企業と派遣社員の間に入ってしっかりとサポートやケアをしてくれる派遣会社を見つけることも大切です。
仕事量の多さを改善
残業が発生したり、ひとりひとりの仕事量が多すぎたりといった問題は、スタッフを管理する上司や労働環境に原因があることも少なくありません。正しい労務管理によって、適切な仕事量に調整していくことは重要です。
入社後のギャップを改善
入社前に聞いていた内容と、実際の現場で経験する内容が大きく異なっていれば、従業員の不満も大きくなりがちです。そこで、入社前と入社後でギャップが生じないよう、具体的な対策を行っていくことが欠かせません。
派遣社員の休日・休暇
休日や休暇、有休の取りやすさは労働者にとって重要ですが、派遣社員の有休取得は正社員と異なるルールで管理されており、適正に理解しておかなければ違法となる危険性もあります。
派遣社員の不公平感を解消して離職率を改善する
派遣社員の離職率を下げるには、不平等な職場環境を改善し、派遣社員の不公平感を解消することも大切です。どのような場合に派遣社員が不公平感を抱いて会社への信頼を失うのか、具体的な事例と改善策を紹介します。
始めから経験豊富な派遣社員を雇う
仕事の内容や職場での環境などに馴染めず、意欲が低下して離職してしまう確率は、専門知識が不足していたり職場での経験がなかったりする派遣社員ほど高まってしまいます。
そこで、最初からある程度の経験を備えていることを条件として、派遣社員を希望することも方法です。ただし、あまり条件を厳しくすると派遣社員の応募が減ってしまう可能性もあるので、派遣元としっかり相談することが重要です。
幅広い年齢層の派遣社員を雇用する
若者を雇用して経験を積ませて、会社を支える人材として育成していくことは大切です。
しかしそれはあくまでも正社員を雇う場合の話であり、あくまでも直接雇用の関係にない派遣社員では、経験や意欲があるのであれば、若い世代に限定する必要はありません。むしろ、中高年の派遣社員では色々な経験を積んでいることもあり、また選択肢があまりないので与えられたチャンスを大切にする人もいます。
派遣社員に対する意識を改善する
派遣社員だからと見下した態度を取っていたり、いつまでも部外者のような扱い方をしていたりすれば、派遣社員の不公平感や疎外感を高めてしまって離職にもつながります。
どのような職場や立場であれ、同じ職場で一つの目標に向かって働いているのであれば、全員がチームの一員です。正社員だから派遣だからと差別するのでなく、あくまでも同じ仕事をする仲間として接するように全員の意識改革が重要です。
今いる人をきちんと見る
過去に不誠実な働き方や離職の仕方をした派遣社員がいたとしても、今いる派遣社員には何の関係もありません。
また、反対に以前にいた派遣社員が特別に優秀だったからといって、いきなり新しい派遣社員に同じことを求めすぎれば、プレッシャーとなって成長するどころか離職してしまう可能性も高まります。過去の出来事や人物にとらわれることなく、今いる派遣社員の人柄や働きぶりを評価することが大切です。
スキルアップのチャンスを提供
派遣社員の中には、仕事に慣れてくるとさらに経験を積んで成長したいと考える人もいます。そのような時、ずっと簡単な仕事ばかりを与えていると、新しいチャンスを求めて他の会社へ移ってしまうかも知れません。また、なかなか仕事に慣れないまま心が折れてしまう人もいます。そこで、定期的な研修などでスキルアップのチャンスを与えながら、きちんと能力を認められていると実感させることも重要です。